万作の日記

人生の目標は「生きているだけで生きていける」こと。

『万作』

『万作』⑦昼間の終わり〈終〉

『万作』■ 第七章 昼間の終わり ◆ 「隣の席でソーダ水を飲んでいた男」 万作は家へ着くと、ジョン吉に自分の名前を言わなかった事に気が付いた。だから、ジョン吉にとっての万作は「隣の席でソーダ水を飲んでいた男」あるいは、それ以外の何かだったのかもし…

『万作』⑥あるロボットの話

『万作』■ 第六章 あるロボットの話 ◆ こう終わっていくべきなのかもしれない事。 「ポリタン」と言うロボットがいるのだそうだ。だけど、隣の席に座る男が言うには、正確には「ポリタン」と言うロボットはもういないのだという。 さっきまで確かにいたよう…

『万作』⑤隣の席に座る男と、隣の席に座る男の会話。

『万作』■ 第五章 隣の席に座る男と、隣の席に座る男の会話。 ◆ あまり興味がわかなかった事。とても気になった事。 ジョン吉は「ポリタン」の事を考えていた。考えていたのだけれど、目の前の皿が空になる頃には「ポリタン」は何処かへと消えていた。 消え…

『万作』④ポリタン

『万作』■ 第四章 ポリタン 「ポリタン」そう言う、ロボットの名前である。 正確にはロボットの名前かどうかも怪しい。だからきっと、何らかのイメージの焦点の一部なのであろう。 ポリタンは空が酷く晴れているので、とても楽しそうにしていた。喋々が飛ん…

『万作』③喫茶メルヘン

『万作』■ 第三章 喫茶メルヘン ◆ 昼間の憂鬱が持つ輪郭をどうにかしてぼやかす事。 「喫茶メルヘン」は、そのネーミングセンス同様に、少々パッとしない町の喫茶店だ。ベタベタしてあまり美味しくないエビピラフか、ケチャップの味そのものの工夫の無いナポ…

『万作』②ジョン吉

『万作』 ■ 第二章 ジョン吉 ◆ ジョン吉と呼ばれる男。 ジョン吉と呼ばれる男がいる。 彼は中学2年生の時に「俺はジョンだ!」と宣言した事があったのだが、周囲は彼を「ジョン吉」と呼んだ。それ以降も彼は周囲にジョン吉と呼ばれ続けてていた。 今、思い…

『万作』①万作

『万作』■ 第一章 万作 ◆ 「ストローぐち」と書いてある穴にストローを挿す男。 万作は目が覚めると、寝る前に買っておいたカップコーヒーに手を伸ばした。「ストローぐち」と書いてある穴にストローを挿し、飲む。 まあ、美味い。 タバコが切れているし、空…